焼き締め陶壺《言霊》
「焼き締め」は、作品の表面に釉薬(ガラスのコーティング)を掛けず、土そのものの焼き肌を活かした焼き物です。 土の焼き締まった肌や、土に含まれる石たちの“ざわざわ感”が特徴。 【地場産品(告示第5条第3号)に該当する理由】 区域内で加工、成形、仕上げをしている加工品であるため。
勝木章子(羽黒山椿窯)プロフィール
昭和24年、長崎県生まれ。父の転勤で各地を回ったのち、埼玉の地で小学校の教員となる。その後、夫の実家である鶴岡市羽黒町に引っ越す。49歳のとき、東北芸術工科大学の創立と同時に陶芸コース研究生に。2年間ひたすらに電動ろくろに向かい、大物の壺の作成と加飾の工夫に汗する。修了後、羽黒山椿窯を開窯。現在に至る。
〇受賞歴
山形県美術展 山形放送賞(平成30年)、入賞9回以上
山形県社会福祉展 県知事賞(平成27年)、社会福祉協会長賞(平成28年)
河北新報社展 入選5回
笠間陶芸展 キリンビール賞
白甕社展 致道博物館賞、今井繫三郎賞(平成30年)、本間美術館賞
転校や主人のUターンに伴う転居など、私は幼少期から身の回りの変化に追いついていくのが精一杯でした。でも、それに順応するのではなく、いつの間にか「楽しいこと見つけ」が上手になっていました。
そんな自分ですが、熟年と言われる歳になっても成長し続けています。美術とは縁遠かった私は、53歳でふたたび大学の門を叩きました。美大の研究生です。「さあ来い!」とばかりに挑む私は、いつのまにか土や轆轤(ろくろ)に慰めてもらう立場になっていました。
あれから20年。いまだに「楽しいもの見つけ」の姿勢で作品に向かっています。
焼き締め陶壺《言霊》について
思いつくままに、雫のような、人魂のような形になった。レリーフとして正面に阿弥陀如来を、周囲に思いつく笑顔を配した。壺の口の色を本体の土の色にすれば、「すうっ」と空に昇っていくような気分なのに、どうしても赤くしたかったのは、何故かな? 今でもわからない…。