「棚田」とは、山の斜面や谷間の傾斜地に、階段状につくられている水田のこと。綺麗な水が常に流れ、寒暖差も大きい棚田でつくられたお米は、甘味が抜群で、ふっくら、つやつや、栄養価も非常に高いです。奈良・明日香村の豊かな土壌に恵まれた奥飛鳥・稲渕から、昔ながらの天日干しをされた希少な棚田米(白米)を、定期便にてお送りします。
棚田米の美味しさの秘密は?
棚田米をつくっているのは、ココロネFARMを運営する迫田晃亘(さこだあきのぶ)さん。
明日香村へは2013年に移住。現在は奥飛鳥・稲渕に暮らし、棚田米や蓮根、マコモダケを中心とした農業に加えて、乾物業と林業の仕事をしています。
棚田米がなぜ美味しいのか、迫田さんはふたつの理由を教えてくれました。ひとつ目は「寒暖差」と「水の恩恵」という、棚田特有の条件。
「山間部にある棚田は昼夜の寒暖差が大きく、米が引き締まり、甘味の素であるデンプンが蓄積する量が増えます。また、棚田は高低差があるため、上の田んぼから下の田んぼへといつも水が流れる。つまり、常に冷たくて新鮮で上質な水が供給されるため、米が美味しくなるんです」
ふたつ目は、「はざかけ」と「自然農法(栽培期間中、農薬・肥料不使用)」という、迫田さんご自身の手間のかけ方です。
「はざかけ」とは、収穫した稲穂を“天日干し”すること。「はざ」という木の棒を2、3本組み合わせて支柱をつくり、長い竹竿のような棒を横に渡し、そこに稲をかけるので、「はざかけ」と言うそうです。
「はざかけって手間なので、普通はしないんです。明日香村の農家でもやっているのは僕を入れて2、3軒じゃないかな。2週間じっくりお日様の下で乾かすと、栄養価も全然違うんですよ。アミノ酸と糖の含有量が高くなる。それに稲穂を逆さまに吊るすから、わらの油分や養分、甘味が最下部の米粒に集まる。すごいパワーを秘めたお米、それが棚田米なんです」
オーストラリアで出会った「自然農法」
自然農法へのこだわりは、オーストラリア在住時代に遡ります。
岐阜県で会社員をしていた迫田さんが妻とともに仕事を辞め、ワーキング・ホリデー査証を取得して日本を出たのは2011年の夏。海外を転々とし、最後に落ちついたのがオーストラリアでした。
「そこで、オーガニック農家と出合ったんです。畑で大根やほうれん草をそのまま食べたのですが、こんなに甘いのかって驚いて。食材の卸の会社で働き、冷凍商品や惣菜など出来合いのものを売っていた自分にとっては、本物の素材に出合えた!という感じでした」
迫田さんは妻と一緒に、NGO「WWOOF(ウーフ)」に参加。World-Wide Opportunities on Organic Farmsの略語で、有機農業やオーガニックを実践している農家に労働力を提供する代わりに、食事・宿泊場所、知識・経験を提供してもらうというボランティアシステムを活用し、オーストラリア各地を移動しました。
そして2014年、妻の妊娠をきっかけに帰国。「農業を中心として他の仕事を組み合わせながら生活できる場所」という条件を胸に、徳島、和歌山、京都の綾部などを訪問していたところ、知人から『明日香ビオマルシェ』を紹介され、それが縁となって明日香村に移住しました。
その後、三重県のオーガニック農家に1年ほど通って技術を学び、2016年4月に農業をスタートさせたそうです。
移住を決めた明日香村の魅力について、迫田さんはこう語ります。
「僕は専業農家ではなく、山仕事やガイドをしたり、乾物を扱ったりと、いろんな小商いを組み合わせて仕事をしています。そういった“半農半X”で里山に暮らすという意味では、明日香村は絶妙な場所だと思うんです。風景も素晴らしい。それはつまり、奥飛鳥の美しい棚田を含めて、地元のそれぞれの農家さんがつくりだしているということ。いま、僕自身もその風景の一部を担わせてもらっているのだと思うと、とても誇らしいですね」
棚田の未来、お米の未来を考える
棚田は「文化的景観の価値」だけでなく、中山間地域の傾斜につくられたゆえに保水機能にも優れ、「自然のダム」でもあるほか、「生物多様性の保全」「伝承文化継承機能」といった観点からも重要な役割も果たしています。つまり、先人の知恵と工夫の結晶が棚田なのです。
一方で棚田は「平地と比べて手間が2倍、収穫量は半分」。一枚一枚の面積が小さく、傾斜地で労力がかかるため、中山間地域の過疎・高齢化にともない、日本全国の棚田はこの30年間で約3分の1が消失したというデータもあります。
しかし、迫田さんは「手間がかかった分、新米を食べる瞬間は涙ものです!」と笑顔を見せます。
「うちの棚田米はヒノヒカリという品種ですが、他と違うのは、毎年稲刈り前に種を選抜しているところ。一本一本、充実した穂を選んでハサミで採り、翌年の種として使います。その種には、稲渕の棚田で育った土地のDNAが刻まれているため、種採りを続けていくにつれ、年々その土地に合った、病気や台風に強いヒノヒカリになるんです。今は種を繋いで5年目。まずは10年このようにして種を繋ぐことで、同じヒノヒカリでもどんな変化があるか、観察しています」
実際、2年前に明日香村全体がウンカという害虫の被害に遭ったときも、迫田さんの田んぼは無傷だったそう。手間と時間をかけ、心を込めてつくられた希少な棚田米を、ぜひこの機会にご賞味ください。
なお、迫田さんは、「日本の原風景を守りたい」という願いから商品開発されたBEATICE「棚田アイスシリーズ」に参加しています。
●【限定10/定期便】奈良・明日香村の棚田米(白米)2kg×3回●
※毎月2kgを3回、計6kgのお届けです。
※入金確認の翌週から3ヶ月連続でお届けします。(3月24日締め切り)
※2023年6月中旬まで発送可。
※配送日指定や分割配送はお受けできません。