A51-610 手織つづれ 紅花染扇子入れ
紅花で染色した絹糸で織った扇子入れ。自家養蚕した小石丸の糸でマユ型を織り込んだデザインがポイント。 *小石丸とは、蚕の品種の一つで非常に細かく上質の糸を産する。 昭和期の一時、飼育の中止が検討されたが、当時皇太子妃であった美智子皇后が残すことを主張して飼育が継続された、との逸話も。 ※写真はイメージです。 山形県 鶴岡市 山形 鶴岡 庄内 伝統工芸品 つづれ織り 紅花染色 シルク 絹 扇子入れ 贈り物 ギフト 【地場産品(告示第5条第3号)に該当する理由】 区域内で加工、成形、仕上げをしている加工品であるため。

綴れ織りの技法
綴れ織りとは西陣織の一種ですが、無地の部分を除いて織り幅いっぱいにヨコ糸を通さないので、ヨコ糸だけで複雑な模様が表現されるのが特徴です。
一般の織物で使われる様には筬(おさ:タテ糸を通しておくもので経糸の位置を整え蜜に打つ器具)を用いず、染色した絹糸をタテ糸にしてその下に図柄の向きを逆にした下絵を置き、それを見ながらタテ糸に対して斜め45度にヨコ糸を一色ずつ杼(ひ:ヨコ糸を通すときに使う道具)を挿入し鋸歯状に削った中指の爪で掻き寄せ、さらに筋立て櫛を用いて模様を織り出します。


イメージと計算と技術と
織りながら巻き込んでいくため、作品の見える部分は、作業しているところがスリット状に見えるだけである。
その為大きな作品では下絵を2枚描き、1枚を経(たて)糸の下に、もう一枚を全体像の確認用に壁に掲げておく。
鑑賞する面でなく裏側を見て織っていくため、経(たて)糸の下に挟んだ下絵から完成イメージを計算して織る熟練の技が必要である。
途方もない時間と手間を費やす仕事
細やかな模様ほど煩雑な爪先の手数が必要となり、30cm幅のもので1日にわずか2~3cmしか織り進めない、気が遠くなるような手間隙のかかる作業である。
また、絵の隣り合った濃淡を織る時には異なった2色の糸の撚りをほどき、1本ずつに撚り分けそれをさらに異なった糸同士を撚り、中間の糸を作り「ぼかし」ながら織っていく。

最高級の価値ある織物
綴錦織は、現在の織物の中でもフランスのゴブラン織と同じく最高級とされ、袱紗(ふくさ)や緞帳(どんちょう)、壁掛け、帯などの美術工芸品として制作されている。
