【冨岡慶正】刀鍛冶が作る「キッチンナイフ」080-001
国内最高峰の日本刀の公募展「現代刀職展」で2020年度の新人賞に輝いた総社市出身の刀匠・冨岡慶正が1本1本丁寧に作り上げた包丁です。 吉備の歴史を彩る鬼ノ城には、鬼神「温羅(うら)」の伝説が残ります。その裾野、吉備の繁栄の礎となった製鉄を今に伝える黒尾地区で活躍する慶正の作風は、いにしえの魂を今に伝える力強さが特徴です。 [提供:慶正鍛刀場(総社市黒尾)]
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- 容量
- キッチンナイフ1本 【サイズ】刃の長さ:約17cm、全長:約32cm 【重さ】約140g 【原材料】青鋼(青紙)
【冨岡慶正】現代刀職展にて特賞・新人賞を受賞


憧れだった刀鍛冶になるため、宮崎県の松葉國正さんに弟子入りし、4年間修業をして、夢をかなえた。
手にすると元気になる、生きる力が湧いてくるような力強い作品を作るため、楽しく作品づくりを行っている。
~刀鍛冶になるまで~
Q.最初から刀鍛冶ではなく、卒業後はIT系の会社で9年デザインの仕事をされていたそうですが、なぜデザイナーから刀鍛冶になったのでしょうか。
子供のころからものづくりが好きで、刀にも憧れがありました。大学卒業後の進路もデザイナーか、刀鍛冶か、教員かで悩みましたが、刀鍛冶の先生から「刀鍛冶は10年ぐらい経たないと一人前になれるかも分からない」と言われ、まずはデザイナーでいこうと、IT系の会社に就職しました。
最初は制作側だったのでやりがいがありましたが、後輩が増えるにつれて管理の仕事が多くなり自分の手で作っている感覚が薄くなっていき「このままでいいのか」と思うようになりました。そして30歳で思いあたり、師匠を探し、宮崎県で出会った師匠とフィーリングがあって受け入れていただいたため、そこから修行を始めました。
Q.刀鍛冶の修行ではどのようなことをされたのでしょうか。

1~2年めは雑用をしつつ、師匠の所作を真似しながら学びます。「先生がどういう手順でしているか」「道具の位置は?」「何を気にしているのか」目に映る情報から意図を読み取り、自分のものにできないと刀鍛冶にはなれません。
効率性という点で、刀づくりとデザインは近いものがあると思います。どのような刀を作るか、作るためにどのような工程があるか、どのような材料が良いか、柔らかい鉄か固い鉄か。鉄の組織は目で見えないので、あらかじめ考えておかないと刀は折れて失敗します。
~刀には人の見てきた景色が現れる~
Q.刀づくりのインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか。

倣うだけでは美しいものはできず、同じものはできません。何らかの形で手の癖か感覚かが刀に反映されていきます。それは日々何を見ているか、刺激を受けているかがちょこっとずつ入っていくということなのかなと思います。
例えば刃文です。刃文にもリズムがあって、単調だとつまらない。そこに山の稜線のリズムを取り入れてみると、自然のリズムだから刃文が気持ちの良いものになるんです。岡山県は山の形が刃文にでているものが多いですし、波や海を刀身に描く人もいますね。
昔から日本では時間と手間暇をかけて滲み出る素材の美しさを楽しむ感覚があり、それが文化として残っています。岡山では刀剣文化が残っており資料も実物もあります。自分たちの土地の文化の一つという意識があることで、刀剣を見よう、買おう、私たち刀鍛冶を応援しようと思ってくれる人がいる。だからこそ自分が美しいとするものを刀剣に残すことができ、文化として継承していくことができるのだと思います。
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